「パパ、うんこ」 と 「おまじない」 (from 読売新聞 第10回こども未来賞 入賞作品)

2月 15th, 2007

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子育てをめぐるさまざまなエピソードをつづったエッセーを表彰する「第10回こども未来賞」の入賞作13編が決まりました。14日付の読売新聞にはそのうち、こども未来財団賞と読売新聞社賞の2作品が掲載されていました。

どちらの作品もおとうさんがキーです。いっぱい話しかけること、わずかな時間でもスキンシップを大事にすること。そんなおとうさんの行動がこどもを、いや家族を変えました。その姿に素直に感動です!

読売新聞社賞 式町直樹さん 「パパ、うんこ」

まず読んだのは、読売新聞社賞 式町直樹さんの「パパ、うんこ」です。

「自分は仕事が忙しいから、子育ては経済的に支援するよ」というおとうさんも多いのではないでしょうか。アメリカ人の奥様と国際結婚してアメリカに住む式町さんもそんな言い訳をしながら、なんと一年も!息子さんに日本語で話しかけなかったといいます。

でも息子さんが初めて大きな声で笑い出したクリスマス。大きな成長をみせた瞬間に立会ったとき、その成長に自分はまったくたずさわっていなかったことに気づきます。落ち込む式町さんに奥様は、「大丈夫、子育てはまだ始まったばかりよ」と励ましてくれました。

それからは息子さんとの時間を作り、日本語でどんどん話しかけていきます。散歩しながら「あれは木。あれは犬。大きい犬だねえ。あれは車。それからあれは月だよ。今日は三日月だね。」って。これって自分もよくやってたなぁ。言葉を繰り返して投げかけることで、目にするモノとその言葉が意味として結びつくときがくる。そのためにどんどん話しかけるべきだって何かで読んだ気がします。

英語をどんどんしゃべれるようになった息子さんが自分の部屋で「ママ、ママ」と泣いています。式町さんが部屋に入ると、ちょっと戸惑った息子さんがいる。でもすぐに真剣な顔で何かを誇ったように叫びました。「パパ、うんこ!」

初めての日本語。それを聞いて、自分が父親であることを初めて認めてもらえたような気がしたといいます。奥様の「子育てはまだ始まったばかり」という言葉を聞かなければとうに子育て参加をあきらめていたかもしれません。

女性は赤ちゃんがおなかの中で育つとともに母親になっていくと思います。つわりや体型の変化、胎動などひとつひとつの変化が少しづつ母性を育てていきます。一方の男性といえばそういう少しずつの変化はなくて、父親になる切り替えがなかなかできない人も多いと聞きます。

そんな人にぜひ、このエッセイを読んでもらいたいと思いました。子供の成長に参加すること、それは父親の役割であること、そして参加が少し遅れたとしても決して遅くはないことを読み取れるのではないでしょうか。

こども未来財団賞 近藤佳代さん 「おまじない」

近藤さんの家の朝の風景。お父さんが出勤するときに子供さんたちとかわす朝のかけ声。「今日もがんばるぞ元気にがんばるぞ!オウ!」とお互いの拳を天井に向かって突き上げて、手のひら同士でパチンとタッチ。これが近藤さんちの朝のおまじないです。

これ、うちでもお姫さまと朝やってます。うちの場合は、「いってきます!」のあとに手のひらにパチン!としてもらいます。とってもいい音がすると、お互いなんだかいい気持ちです。どちらかというと自分が元気をもらっているような感じですね。

近藤さんの家の場合は、きっかけは娘さんの登園拒否。いっしょにがんばろう!っていうおまじないとして始まった習慣だそうです。それが毎日続けられ、奥様もおとうさんも家族みんなが元気をもらえる習慣になっています。

おとうさんの役割の大切さを感じたエッセイです。ここぞというときにはバシッと家族の危機を解決する。そんな役割がおとうさんは大切ですね。他にも地域全体で子供を育てようという意識を感じる京都の街の話もあわせて、子育ては家族、地域、みんなで支えあうことなんだなあとあらためて思いました。

入賞作品の作品集

全入賞作品は、4月中旬に「作品集」として発刊されます。下記方法で手に入れることができるようです。

  • あて先:〒104-8325 読売新聞東京本社事業開発部 「こども未来賞作品集」係
  • 住所、氏名を明記し、200円切手を貼った返信用封筒を同封して依頼

また過去の作品はホームページから読むことができます。第8回のこども未来財団賞「おかあさんのおっぱいね」は、むかし読んだことがあって涙したのを思い出しました。子育ての元気になれるいい話がいっぱいです。もっともっと涙して、そして元気をもらいたいと思います。

こども未来財団 こども未来賞 ”受賞者と作品の紹介”
http://www.kodomomiraizaidan.or.jp/miraisyo/kobo10-18.html

 

 

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カテゴリー: こどものニュース

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コメントフィード2件のコメント

  1. 式町直樹

    私のつたないエッセイをブログに取り上げていただいてありがとうございます。しかも1位の方のエッセイよりも大きく取り上げていただいて、なんだかお恥ずかしい限りです。
    お父さんたちが子育てにもっと積極的に参加できるような社会の雰囲気ができれば本当に子供たちは幸せなはずですね。
    バージニアから応援しています。
    これからもがんばってください。

  2. おとう

    ご本人さまからコメントいただけるなんてビックリです!インターネットってすごいなぁ。こちらこそありがとうございます。
    おとうさんだからできる子供との関わり方があると思います。そしておとうさんは子供にとっては、いつまでたってもおとうさんです。子育てには、もう遅い・・・はないんですよね。エッセイを読み返して思いました。
    日本はサクラの季節を迎えました。週末には関東のサクラは満開になりそうです。
    お住まいのバージニア州の州花は「ハナミズキ」とのこと。この花は、ワシントンのサクラのお返しに日本にやってきたんですね。日本とアメリカをまさにつないでいる式町さんとこんな花のエピソードが重なりました。

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